『ニーベルングの指環』4部作の中でもひときわ人気が高く、
映画やCMでもおなじみの「ワルキューレの騎行」など
名曲で知られる傑作「ワルキューレ」!
リヒャルト・ワーグナーの書いた楽劇で、「序夜と3日間のための舞台祝典劇」と題する。
世界支配の魔力を持つ指環をめぐり,神々、英雄、巨人、小人などが攻防を繰り広げる壮大な叙事詩。
上演は4日間に及ぶ。上演時間、約15時間、
- 序 夜 『ラインの黄金』(Das Rheingold):2時間40分
- 第1日 『ワルキューレ』(Die Walküre):3時間50分
- 第2日 『ジークフリート』(Siegfried):4時間
- 第3日 『神々の黄昏』(Götterdämmerung):4時間30分
台本は4部作すべて作曲家自身の手による。「ラインの黄金」が序夜と名付けられているため、「ワルキューレ」は第1日と呼ばれるが、実際は2番目の物語ということになる。
- ワルキューレ Die Walküre
- 台本=作曲者ワーグナー自身の手による(ドイツ語)
- 初演=1870年6月26日 バイエルン宮廷歌劇場
- ジークムント(テノール) ヴォータンが人間に生ませたヴェルズング族の若者。
- フンディング(バス) ジークリンデの夫。ヴェルズング族の宿敵。
- ヴォータン(バリトン) 神々の長。神々の没落を予感し始めている。
- ジークリンデ(ソプラノ) ジークムントの双子の妹。フンディングの妻。
- ブリュンヒルデ(ソプラノ) ワルキューレ(女戦士)の筆頭格。ヴォータンとエルダの娘。
- フリッカ(メゾソプラノ) ヴォータンの妃、結婚の女神。
生き別れていた双子の兄妹ジークムントとジークリンデが出会い、兄妹と知りつつ恋に落ち、駈け落ちする。
妻ジークリンデに逃げられたフンディングの告発により、ヴォータンは神としての立場から、意に反して自らの息子であるジークムントを見殺しにせざるをえなくなる。ヴォータンの愛娘でワルキューレの一人であるブリュンヒルデは、父の本心を見抜いてこの兄妹を守ろうとするが、結局ジークムントはフンディングに倒されてしまう。ブリュンヒルデは、ジークリンデに英雄ジークフリートをみごもっていることを教えて逃がしてやるが、この勝手な一連の判断がヴォータンの怒りにふれる。
ブリュンヒルデは罰として神性を奪われ炎に囲まれた山頂に眠らされる。
ドイツ・ロマン派の劇音楽における頂点に立つ作曲家。リストとともに新ドイツ派といわれ、総合芸術としてのオペラを大成。管弦楽効果の巨大化などによって、19世紀後半の音楽、さらには20世紀の音楽にも多くの影響を残し、ワグネリアンといわれる崇拝者を生んだ。作曲家であると同時に、指揮者、思想家、文学者などの顔も持つ。青年時代は、ベートーヴェンに心酔し、各地の劇場指揮者を務めた後、マイアベーアのグランド・オペラの影響下に歌劇を発表。ドレスデンの宮廷劇場の指揮者に迎えられたが、1849年の5月暴動に荷担して国外追放になり、チューリッヒ、パリを転々とした。1862年までに追放が解け、ドイツで活躍。バイエルン国王ルートヴィヒ2世の知遇を得る。リストの娘コジマと結婚。1876年各国のワーグナー協会の支援によりワーグナー作品上演のための劇場がバイロイトに建設された。そのバイロイト祝祭劇場は、今もなお、世界のオペラ界をリードする劇場としてワーグナー作品を上演し続けている。