『ワルキューレ』演出・装置 ジョエル・ローウェルス インタビュー
Q:自己紹介をお願いします
A:ジョエル・ローウェルス、ベルギー出身です。
今年の『ワルキューレ』を演出するにあたり、大変光栄に感じ、楽しみにしています。色々な挑戦をしてみたいですね。
Q:今回の演出のポイントは?
A:まずはマエストロ沼尻にお礼を申し上げます。
『ワルキューレ』の演出家としてお招きいただいたことを誇りに思います。以前『カプリッチョ』* でご一緒した際の素晴らしい経験を鮮明に記憶しています。それはとても実り多い、驚きに満ちた経験でした。
というのも、私はいつも舞台作りでは頭の中で音楽を鳴らしながら、ある種の期待を胸に作業をするのですが、沼尻氏の音楽は本能的に私の期待と共鳴し、同じ方向へ進んでくれるものでした。だから今回も非常に楽しみにしています。
私の演出では常に舞台上に音楽を必要とし、音楽が舞台の隅々まで豊かに満ちていることを求めます。思うにワーグナーの舞台で特に危険なのは、すでに音楽が語っていることを再び説明し、繰り返してしまうということなんです。
沼尻氏が作り上げる 繊細で緻密な音楽を楽しみにしています。
前回の共演で得られた喜びをまた味わいたいです。
*2009年東京二期会公演
Q:観客へのメッセージ
A:観客の皆さんにお願いしたいのですが、ワーグナーの書物を舞台上で読む、というような期待をしないでください。ワーグナー作品の上演でよくある間違いは、彼に関する書物を読ませたり、音楽の分析を繰り広げたりするかのような演出です。しかし私たちの仕事は作品そのものを見せることです。観客は見たものを自由に解釈するべきなのです。そのためにも、観客には好奇心を持ってオープンな心で来てほしい。作品に関する固定観念は持たずに来てほしい。
作品そのものがその場で語ってくれるものは、私たちが期待するよりはるかに多いはずです。
私たちの公演にどうぞお越しください。
物語(ストーリー)全体の流れに身をゆだねて、楽しんでください。
身をゆだねて 目の前の作品が自分に語りかけてくることを感じてください。
劇場でお待ちしています。