演出家ミヒャエル・ハンペ & 舞台装置・衣裳デザイナー へ二ング・フォン・ギールケよりメッセージ

2015年 8月4日 チューリッヒにて

以前リッカルド・ムーティと『さまよえるオランダ人』をやったことがあります。

今回、再び新しい演出ができるというチャンスを大変喜んでいます。

ワーグナーにとって『さまよえるオランダ人』は最初の大きな成果になりました。まさにこの作品でワーグナーは有名になり、評価されるようなった、ということがよくわかる作品です。 ワーグナーの大作『二ーベルングの指環』四部作との比較で言うと、とてもおもしろいことがあります。ワーグナーが本当にゆっくりと、ありとあらゆる手段をいろいろ集めた結果が『二ーベルングの指環』四部作に集約されています。観客にとっては『さまよえるオランダ人』で花が咲き始め、さまざまな作品を経て『二ーベルン グの指環』四部作で花が完全に開花する、というワーグナーの在り方をみるというのはとても興味深いことであると思います。そのきっかけの作品なのです、『さまよえるオランダ人』は。

新演出にご期待ください。

日本で仕事をすることが好きで、何度もよろこんで引き受けてきました。

それは、私のやり方、すなわち色やイメージ（映像）、そして異化された多様なあり方を日本の方は大変理解してくださるからだと思っています。

かつてこの作品を演出したことがあります。この作品はいろいろな可能性をもっており、今回は以前やったことを改善し、また違った風にやります。自分が今までに経験したオペラの世界を、この作品を通して観客にもっとよりよく理解してもらいたいと考えています。

ワーグナーが舞台に、あるいは歌手たちに要求した多くのことを映像を通して見せたいと考えています。ご期待ください。