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各施設から持ち寄られた公演チラシが机の上に広がっている 育成 2

(C)神奈川県民ホール

劇場運営マネージメント講座
シリーズ「これからのインクルーシブ社会と公立文化施設の取り組み」
第6回 視覚情報のユニバーサルデザイン化

  • 2017年6月21日 実施
  • 小会議室

日本人男性の20人に1人、女性の500人に1人が、
かつての色盲・色弱、現在神奈川県では色覚障害と呼ぶ症状を持っています。
この障害が生活に深刻な影響を与えることは稀ですが、
それでも周りには分からない困難があります。
障害者差別解消法が施行され、
見えない人、聞こえない人、動けない人への配慮に取り組むホールや劇場は増えました。
でも、色が見えにくい人への配慮はほとんど為されていません。

そこで、色覚障害の基礎知識、当事者が感じている困難、施設としてすぐに出来る対応を学ぶため、
NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構・副理事長の田中陽介氏を講師に招いて講座を行いました。

第一部は視覚に関する基礎講座です。
眼から得た情報が脳内でどのように処理され一つの像を結ぶのか。
人の眼は赤、緑、青の三つの視細胞で色情報を解析し、この処理精度によって見え方が異なる云々.....
こう書くと難しそうですが、スライドを使った説明は実に明快。
見えるメカニズムと見えないメカニズムの違いを知ることで、色覚障害への理解が深まります。

休憩後の第二部は、参加者を三つの班に分けてのワークショップです。
最初に各自持ち寄ったチラシを机に広げます。
多種多様な公演チラシを並べると机の上が一気に華やぎます。
次に、色覚障害を疑似体験する眼鏡「バリアントール」と
スマホアプリ「色のシミュレータ」を使ってチラシを見比べます。
すると世界が一変。カラフルなイラストや文字は輝きを失い、背景に沈み込みました。
特に赤と緑の変化は顕著で、両方とも精彩を欠いた茶色になります。
そこで班毎に対策を考えます。
例えば暗めの背景に赤い文字を載せると背景に溶け込んでしまいますが、
白い縁取りを付けることで背景から独立して存在感が生まれます。
カラーチャートを使ってコントラストの強い色を探すのも有効です。

色覚障害は個人の視細胞の特性によって発生するため、
見えない色が見えるようになることはありません。
しかし、見えにくい色を見えやすくすることは、ちょっとした工夫で可能です。
今後の印刷物つくりや館内サインの計画に役立つ講座でした。

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